茶道に裏千家や表千家等流派があるように、鍼にも様々な流派があります。大まかに分類すると現代鍼灸・日本伝統鍼灸・中医学鍼灸等にわけられます。
OZZ 鍼灸院 北京堂 東新宿
当院について
まったり気軽に、治療にいらっしゃいませんか?
当院は、整形外科疾患を得意としており、そのため鍼治療をメインに考えています。マッサージのみの施術は行いませんので、あらかじめご了承下さい。
WHOでは、健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることと定義しています。
つまり、身体の健康、心の健康、そして人生における生きがい、やりがいの3つが揃ってはじめて成り立つものだということです。そして、この3つは相互に深く関わり合っていて、ひとつが上向きになれば他を強く引っ張りあげることができると思っています。鍼灸によって身体の健康を快復・維持することで、その助けになればありがたいです。
鍼灸に関して
現代鍼灸は、基礎医学である解剖学、生理学、運動学等に基づいた鍼灸であり、経穴(ツボ)よりも筋肉の走行部位や筋腹などを重視して鍼をし局所的な治療を行うことも多いです。パルス器具のような電気を流す器具を使うところも多いです。
次に日本伝統鍼灸です。中国から伝わって日本で独自に発展した日本式鍼灸です。問診はしますがあくまで脈診で五臓六腑の不具合を把握し、その臓腑の経絡にあるツボを刺激して脈を整える治療を行うことで身体のバランスを整えていきます。細い鍼で浅くうち、お灸を多用することが多い気がします。例えば経絡治療や積聚治療、東方会等の治療方法で治療されている先生方がこれにあたるのでしょうか。
最期に、中医学鍼灸。中医学理論に基づいて患者様の体質を考えて治療していきます。問診をして、気血津液弁証、臓腑弁証、経絡経穴等を用いて体質や状態からその患者様に最適な鍼灸や按摩マッサージ、指圧、吸玉を用いて体調を整えていきます。
浅野式(北京堂式)について
北京堂の鍼
北京堂の理論は『内経』に基づいています。そこには“通じなければ痛む”とあります。
通じないものとは経絡(経脈&絡脈)であり、現代で言うと“血管”の総称です。
血管には血液が流れています。古典によれば血液は気によって運ばれています。そのため、その気が滞れば血も進まなくなり、組織も栄養されなくなることで痛みが起こると考えます。
そのためその詰まりを鍼で刺激することで取り除けば、血液が再び循環するようになり組織が栄養され病が治るということになります。
因みに、『内経』では血管が詰まってる場所を“索”、表面血管なら“横絡”と呼びます。索は柔らかい筋肉が紐のように凝り固まった部位で、横絡は血液が滞って怒脹した部位でそこに鍼をしたり血を出したりして治療し、索や横絡を消す治療をします。
+α
北京堂の治療ではその古代の理論をそのまま引用するのではなく、神経をプラスします。
北京堂では神経が圧迫されて痛みが発生すると考えます。もちろんすべての痛みが神経圧迫から起こるわけではなく、筋肉による神経圧迫から起こる痛みに絞って鍼の治療対象になると考えています。
圧迫段階
圧迫段階は3つに分かれ、まず第1段階として、筋肉が少し神経を圧迫して、神経がパルスの発生させている状態です(この段階では、知覚神経ならジリジリと痺れるような感覚や圧迫感を脳に伝え、運動神経なら筋肉を少しづつ収縮させ緩まなくさせ筋肉付着部に圧痛をもたらします)。
第2段階が筋肉が神経を圧迫し、神経が激しくパルスを発生させている状態になります(知覚神経を圧迫していれば締め付けられるような痛みが腦に伝わり、運動神経なら不随意の痙攣が起こります)。
最終段階は、筋肉が神経を強く圧迫し神経からのパルスを遮断している状態になります。この段階になると知覚神経なら遮断されているので知覚はなく、運動神経なら脳からの命令が伝わらないので筋肉が動かせなくなります。
手足が動かせないとか感覚がないといった最も進行してしまっているこの状態は、治療時間がかかるというのが北京堂の痛み理論になります。
筋肉
筋肉は本来は柔らかくて収縮性がありますが、使いすぎて酸素不足になったり、不完全燃焼により、筋肉内に疲労物質が出ると筋肉が縮み硬くなってしまいます。
筋肉が収縮し続けたままでいると運動神経を圧迫刺激して筋肉に収縮パルスが発生し、それが繰り返されてしまいその循環を繰り返して自然では柔らかい筋肉に戻らなくなってしまいます。
なぜなら筋肉は一旦収縮すると神経だけではなく血管も圧迫するからです。
締めつけられた神経は知覚神経なら痛みとなり、運動神経ならパルスを出して筋肉を収縮させ、ますます筋肉の収縮を激しくします。
また筋肉には血管も通っているため、筋肉に圧迫されその血管に血が流れなければ体温が伝わらず、冷たくなり、酸素を含んだ血が流れてこないため筋肉の萎縮が進んでいきます。
治療
その収縮した筋肉に鍼を入れ、30分ほど置きます。すると、軸索反射により、血管が拡張し、血流が回復して酸素が運び込まれ発痛物質が運び去られ固まった筋肉が緩み、筋肉による神経や血管の圧迫が解消されます。
血液が流れれば、酸素不足も解消し筋肉の凝りは和らぎ、血が循環し筋肉内の疲労物質が運び出され腎から排出されます。
血液循環が回復することにより筋肉内に留まっていた局所的な疲労物質が全身に回るため、鍼治療の後は脳が運動した後の様な眠気を感じ良く眠れ、身体は筋肉痛の様な状態になります。
筋肉痛と凝りの違いは痛む筋肉が硬いか柔らかいか、代謝産物が運ばれるか否かです。鍼により、凝滞した血液を循環させることで凝りを筋肉痛に変え、治療をしていきましょう。
(木下理論)
+1
摩擦等で筋膜が破れ、筋膜どうし、あるいは筋膜と骨が癒着したり、筋肉同士が瘢痕化し筋肉の運動が制限され動かした時に血管や神経へ張力や圧力がかかり神経が痛むという朱漢章の小針刀理論があります。
そうした筋膜の癒着を剥がしたり、瘢痕化した部分を治すための道具とて朱漢章は小針刀を考えました。
その後、更に発展し中国で新分野としての地位も確立され、直径が小さい刃鍼が登場しました。これは通常の鍼とは先端の構造が異なります。
あまりにも収縮しきった筋繊維は鍼を刺しても収縮と弛緩が起きず緩まないため、刃鍼で縮んで伸びなくなった筋繊維を切り、血管の圧迫をなくすことで組織の血液循環を甦らせさせようとするもので、作用は通常の鍼と変わりはないですが更に強力に促します。
以上、北京堂・浅野式の治療理論は、
“圧迫された血管の圧力を取り除いたり、滞った血を取り除くことで血液循環を回復させ組織に新しい血液と酸素を供給し治していく”
というものになります。
(浅野周先生の本より抜粋)